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東京地方裁判所八王子支部 平成3年(ワ)1677号 判決 1994年8月31日

原告

野形葵

右訴訟代理人弁護士

上田誠吉

杉井静子

松島曉

河辺雅浩

坂勇一郎

被告

日本電信電話株式会社

右代表者代表取締役

児島仁

右訴訟代理人弁護士

安西愈

井上克樹

外井浩志

込田晶代

主文

一  被告が原告に対し行った、平成元年一二月一九日付け譴責処分は無効であることを確認する。

二  被告は、原告に対し、金一七万三五二四円及び内金八万三三一二円に対する平成三年一〇月九日から、内金九万〇二一二円に対する平成六年三月三〇日から、それぞれ支払い済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  この判決第二項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求

主文同旨。

第二  事案の概要

被告の職員であり、通信産業労働組合(以下「通信労組」という。)の組合員である原告は、全国労働組合連合(以下「全労連」という。)の結成大会に参加するため、被告の設置する職員の訓練・研修施設での集合訓練期間中の一日につき、年次有給休暇を取得する旨請求(時季の指定)をしたところ、被告から時季変更権を行使されたが、そのまま右訓練を欠席して右結成大会に出席した。そのため、原告は、被告から、無断欠勤であるとして譴責処分(以下「本件譴責処分」という。)を受け、かつ一日の賃金カットをされたので、被告の右時季変更権の行使は労働基準法に違反するものであること、または原告が通信労組の組合員であることに基づく差別行為(不当労働行為)もしくは権利の濫用であること等を理由に、右譴責処分の無効確認を求めると共に、右カット分の賃金等の支払いを求めた。

一  争いのない事実

1  被告は、昭和六〇年四月一日に設立された、国内電気通信事業を主たる業務とする株式会社である。

2  原告は、昭和三九年四月一日、被告の前身であった日本電信電話公社(以下「電電公社」という。)に雇用された。原告は、平成元年一二月一九日の本件譴責処分当時は、電話の自動交換、中継を主たる業務とする被告の立川ネットワークセンタにおいて、電話交換機の保守を担当する交換課(以下「交換課」という。)に勤務し、工事主任として、電話交換機保守の業務に従事していた。また、原告は、その当時、通信労組に所属していた。

3  原告は、平成元年一一月一日から同月二九日まで、被告の設置する中央電気通信学園(以下「中央学園」という。)において、被告の、保全科ディジタル交換機応用班の訓練(以下「本件訓練」という。)を受けていたが、同月一八日に、交換課課長に対し、同月二一日の訓練につき、組合休暇願いを提出した。右二一日に予定されていた講義科目は「共通線信号処理」であった。なお、原告の所属する交換課は、共通線信号処理装置にかかわる業務も担当していた。

同月二〇日午後三時ころ、立川ネットワークセンタ所長から、原告に対し、電話にて、本件訓練中は組合休暇を認めることができない旨の回答があった。そこで、同日、原告は、被告に対して翌二一日の年次有給休暇(以下「年休」という。)を請求したが、これに対し、被告は年休は認められない旨を回答し、これをもって、被告は、原告に対し、年休の請求に対する時季変更権を行使した。

4  原告は、同月二一日、本件訓練に出席しなかった。

5  被告は、同年一二月一九日、原告に対し、同年一一月二一日の原告による本件訓練の欠席が無断欠勤であるとして、被告の社員就業規則第六九条三号(上長の命令に服さないとき)及び同条一三号(職場規律に違反する行為のあったとき)を理由に、本件譴責処分を行い、右処分に基づき職能賃金の定期昇給の四分の二の減給(昭和六三年に「社員就業規則の一部改正について」によって改正された後の被告の社員就業規則第八四条参照)を行うと共に、無断欠勤として原告の一日分の賃金カット(右規則第七八条参照)を行った。右減給額及びカット額の内訳及び合計額は別紙のとおりである。

二  争点

1  時季変更権行使の適法性

(一) 被告の主張

労働基準法三九条四項但書にいう、時季変更権行使の要件であるところの「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かの判断基準については、「当該労働者の所属する事業場を基準として規模・内容、当該労働者の負担する作業の内容・性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等、諸般事情を考慮して客観的に判断すべき」とするのが判例である。

そして、以下の理由により、被告による本件訓練においては、原告に代わる代替要員を配置することはできず、このような非代替的業務を命じられた原告が、右訓練期間中に年休を取得することは、被告の「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するから、被告による時季変更権の行使は適法である。

(1) 原告が本件訓練を受講する必要性

①本件訓練当時、被告は、近年の電話回線の増加、並びにパソコン通信、ファクシミリ通信等の通信サービスの高度化及び多様化に伴い、回線の容量を増やし、より高品質で多彩な通信の利用を可能とするため、ディジタル交換機の導入を進めており、ディジタル交換機の保守技術者の養成と能力向上は、被告及び立川ネットワークセンタにとって急務であった。そして、より高度な技能向上のためには、単に日常の業務だけではなく、実地訓練及び基礎理論の体系的学習の必要があった。

本件訓練において原告が欠席した日は、共通線信号処理に関する講義が行われたが、交換機のディジタル化に伴い、共通線の知識及び技術の習得が不可欠なことから、平成元年度から右講義の時間数が三時間から六時間に増やされていた。

②ところで、被告の研修施設において訓練を受けられる職員数は限られており、被告としては、受講を終了し、技能を向上した研修対象者が、職場で他の職員を指導教育し、訓練の成果を発揮することを期待し、かつ、これを意図して研修対象者を選出している。すなわち、教育研修は、研修対象者の技術向上のみのためではなく、研修対象者を通しての職場における技能向上を図ることを意味する。したがって、研修対象者が誠実に全課程を習得する必要がある。

現に、原告の参加した平成元年度においては、職員数に占める中央学園での研修人員はわずか五パーセントにすぎなかったところ、年間一五回の訓練への参加人員は、訓練設備や宿泊施設等の制約から、全国で計四二〇名に制限され、一回につき二八名しか参加できなかった。しかも、立川ネットワークセンタの場合、本件訓練に際して、第二回線サービス課及び交換課から各一名の計二名の受講を希望したが、結局、原告一名のみしか参加が認められなかった。したがって、原告は、立川ネッワークセンタを代表して本件訓練に参加したものであり、既に述べた本件訓練の必要性を併せ考えると、原告には本件訓練を欠かさず受講する必要性があった。

③なお、原告は、欠席日の課目である「共通線信号処理」は、原告がその実務を長く担務してきたから、本件訓練欠席による訓練結果への影響はないと主張する。しかし、「事業の正常な運営」を妨げるかどうかについては、使用者において事前に判断すべきものであるから、原告の主観的判断をもって結果的に決めることは到底許されない。

(2) 代替期日における訓練の受講について

被告は、本件訓練のあった平成元年当時、全職員約二六万六〇〇〇人、保守部門の職員だけでも約七万九〇〇〇人を抱えており、研修対象人員は六万二二七〇人(中央学園だけでも一万三五一三人)、研修課目は七四科班延べ二五一回となっていた。そして、被告は、訓練対象者の地域性、受入れ設備の制約の問題、訓練者を送り出す事業所における日常業務の稼働面等を考慮した上で、前年度中に、研修内容、研修日程、訓練参加者の人数割当て等を準備立案しているから、たとえ一部の研修計画の変更であっても、研修計画全体に重大な影響を与えるからこれを安易に認めることはできないし、まして、個々の職員の要請により随時研修日程を変更することはできなかった。

仮に、訓練期間中の年休取得を認めて補講を実施することになれば、教官の確保、業務に与える支障、宿泊設備や受入れ体制等の問題が生じ、大きな混乱が予想されるから、補講の実施自体が業務の正常な運営を妨げることになりかねない。

したがって、被告が原告に対し、代替期日をもって訓練を受講させることはできなかった。

(3) 以上より、原告の本件訓練参加は、他の従業員がこれに代わることができないという意味において、原告の非代替的業務であるから、本件訓練期間中に原告に年休を取得させることは、被告の事業の正常な運営を妨げるものであり、被告の時季変更権の行使は適法である。

なお、原告は、被告における集合訓練中に年休を取得した事例があると主張するが、昭和三七年以降、延べ人員数千万人日という膨大な数のうち、わずか十数例にすぎない。

(二) 原告の主張

本件における原告の年休取得は、以下の理由により、被告の「事業の正常な運営を妨げる場合」にあたらないから、これに対する被告の時季変更権の行使は違法である。

(1) 原告が本件訓練を受講する必要性はなかったこと

原告は、欠席した平成元年一一月二一日の講義科目であった「共通線信号処理」の実務を長年にわたり担当してきており、原告に年休を与えても本件訓練目的の達成には何ら支障はなかったし、そのことは被告も事前に判断できた(現に、被告は、原告の右欠席にもかかわらず、原告を本件訓練の終了者として取り扱っている)。

(2) 被告の配慮義務(代替期日における訓練の受講)

被告による学園集合訓練は年間を通じ繰り返し行われており(年間二〇回近く)、本件訓練はその第一一回目であったから、被告が原告に対して、特定の期日を代替期日として指定した上で受講させることが十分可能であった。

(3) 本件訓練参加中であることにより、原告の年休請求権は消滅しない。被告は、研修中の年休取得は人道上の理由がある場合以外は一切認めていないと主張するが、訓練中といえども、年休を取得している事例が存する。また、本件訓練は一か月にわたるものであるが、原告の年休請求はそのうち一日についてのみである。

2  不当労働行為の成否

(一) 原告の主張

原告が、被告に対し、まず組合休暇を申請し、これが認められなかった後は年休を請求したのは、平成元年一一月二一日に予定されていた全労連の結成大会に参加するためであった。原告は、通信労組(全労連に加盟している。)に所属し、右労組の中央執行委員であり、東京支部書記長であった。

被告は、以下のとおり、通信労組を不当に差別しており、通信労組の組合員である原告に対しても差別的取扱いを行ってきているから、本件における原告に対する時季変更権の行使も、通信労組の組合員である原告に対する差別行為の一環であるか、または、後記のとおり、通信労組の組合員である原告が通信労組の代表として、その上部団体である全労連の結成大会に参加することを妨害するためなされた、被告の、通信労組ないし原告に対する差別意思に基づく行為(不当労働行為)である。

(1) 通信労組に対する差別

通信労組は、国民のための電気通信事業を発展させることを基本理念とし、被告の前身の電電公社時代は、民営化反対の闘いを全国で繰り広げ、被告発足後も、一〇四有料化反対闘争、ダイヤルQ2適正化運動等を行ってきた。

ところで、同一企業内に複数の労働組合が併存している場合には、使用者は、すべての組合に対し、中立的な態度を保持すると共に、その団結権を平等に承認、尊重すべきである。しかるに、被告は、被告の民営化以降の合理化政策を共に推進してきた全国電気通信労働組合(以下「全電通」という。)に対しては便宜をはかる一方で、通信労組に対してはこれを嫌悪、敵視してきた。例えば、組合事務所ないし組合掲示板の貸与、団体交渉における制限の有無、労働協約や交渉記録書における取扱い等につき、通信労組を不当に差別してきたし、また、通信労組組合員に対しても個別に差別的取扱いがなされている。

(2) 原告に対する差別的取扱い

原告は、昭和三九年に電電公社に雇用された後、全電通に加入し、全電通組合員として、主に全電通の民主的運営を求める運動や、電電公社の民営化反対運動を中心に活動してきたが、昭和六二年に全電通組合役員選挙の立候補を断念して、通信労組に加盟した。その後、原告は、主に一〇四番号案内有料化反対運動や、通信労組の組織拡大等に取り組んできた。

被告においては「先任権」制度があるが、被告は、原告と同期のほとんどの者が既に課長等になっているにもかかわらず、原告のみを交換課の工事主任に据え置いたままである。また、被告は、昭和六二年当時、他の社員に多くの上級の訓練を受けさせていたにもかかわらず、原告には一般ディジタル基礎班の訓練しか受けさせなかった。さらに、被告は、昭和六三年には、夜間宿直者に対し、原告には電話での相談をしないように周知徹底を行い、平成元年二月一日の料金改定に伴う深夜及び早朝作業に際しては、他の課からわざわざ要員を配置した上で、原告を右作業から除外した。これらは、いずれも原告が通信労苦の組合員であることを理由に行った差別的取扱いである。

(3) 被告による時季変更権行使の差別性

被告は、通信労組の組合員としての原告の諸活動を認識していたところ、平成元年一〇月下旬ころ、突然、本件訓練の参加者を向井職員から原告に変更した。右変更は、従前、原告が訓練受講を強く希望し続けていたにもかかわらず受講がかなわなかったことや、向井職員から原告への変更に合理的理由がないことからすれば、原告の全労連結成大会参加を妨害するためのものである。そして、原告の年休請求は、組合休暇申請が認められない旨が通知された後のものであって、被告は、原告が全労連結成大会参加のために年休を取得することを認識していたし、そもそも被告においては訓練中でも年休を認めてきた実態が存するから、被告による時季変更権行使は、通信労組組合員である原告に対する差別に基づく不当労働行為である。

(二) 被告の主張

(1) 原告に対する差別の点について

被告には「先任権」なる制度はないし、そもそも原告が通信労組に加入したのは昭和六二年であるから、昇進遅滞と原告が通信労組組合員であることとの間には何の関係もない。むしろ、原告は、平成三年三月の付帯試験の責任者でありながら、他の者に業務完了報告書を提出してもらっている等の事実がある。

原告の訓練受講回数が他の職員に比較して少ないという事実はない。また、夜間障害時の連絡系統は別に定められており、これに従って処理することが本来の姿である。平成元年二月の料金改定作業は、毎年交代で担当しているものである。

(2) 時季変更権行使の差別性の点について

被告は、原告の具体的な組合活動の内容は認識していない。また、訓練期間中でない通信労組組合員はすべて全労連結成大会に出席した。したがって、原告が通信労組組合員であるが故に、被告が時季変更権を行使したという事実は存在しない。

3  権利濫用について

(一) 原告の主張

仮に、被告による時季変更権の行使が違法でなく、本件譴責処分が不当労働行為でないとしても、被告における職員の過去の年休取得状況からすれば、原告に対して、結果として懲戒処分である本件譴責処分等を行ったことは行き過ぎであり、権利の濫用であるから、本件譴責処分は無効である。

(二) 被告の主張

否認する。

第三  判断

一  経緯

1  原告は、昭和三九年四月一日、被告の前身であった電電公社に雇用され(争いがない)、国分寺電報電話局機械課機械係に配属された(甲一二)。原告は、このころ、全電通に加入し、電電公社入社後三年目ころ、全電通東京地方支部国分寺分会の班長になり、昭和四五年、同支部国分寺分会青年議長に選出され、電話局外での作業時に職員が乗って行く作業用自動車に、走行内容を記録するタコグラフが設置されるのに反対する等の活動をした(甲一二、三一の2、原告本人尋問の結果、以下「原告供述」という)。

2  原告は、昭和四六年四月、立川電報電話局に転勤になり、同局市外機械課工事主任として勤務した。昭和四九年、原告は、全電通立川分会市外機械課班長に選ばれたが、このころから、原告は、全電通が、特定政党を支持して、当該指定政党の支持者でない組合員に対してまでも、選挙資金のカンパや選挙の票集めを強制し、人員削滅合理化については使用者たる電電公社側と一緒になって進め、組合員の賃上げ要求の意見を採り上げない等というように感じており、全電通指導部に対して批判的立場をとるようになった。また、このころから、原告は、全電通立川分会役員選挙や全国大会代議員選挙等に立候補するようになった(以上、甲一二、原告供述)。

3  原告は、昭和五四年五月ころ、立川電報電話局市外機械課課長に対し、任用は、順番のはずだが自分は外されている。任用をきちんとしてほしい旨を申し入れ、その後、施設部長とも話をした。原告は、さらに、昭和五六年ころにも、同市外機械課課長(昭和五四年とは別人)に対し、同期の他の社員の任用状況につき具体例を挙げて、自らの任用につき申入れをした。原告は、これらの申入れにつき、ノートに書き留めていた(以上、甲一二、一五、三一の3)。

4  昭和五五年一一月、「電電近畿カラ出張、裏金で連夜豪遊、労使接待が三割」等の見出しの新聞報道がされた(甲一二、四七の2)。

昭和五六年四月二六日、右新聞報道を一つのきっかけとして、電電公社内に通信労組が結成された(甲四四の1、四七の1、2、四八の1ないし3、四九の1、2、証人岩崎俊の証言、以下「岩崎証言」という)。また、原告は、同年九月、右電電公社の不正経理事件糾明をきっかけに、職場新聞「クロスバー立川」を月二回程度発行して門前で配るようになった(甲一二、一三の1、原告供述)。

5  昭和五九年、電電公社の民営化の動きに対し、原告は、人員削減になると共に利用料金も値上がりするということで反対していた。このころ、民営化反対から方針転換をしていた全電通による「電電公社制度改革に関する請願書」が出されたので、原告は、全電通指導部に対し、右請願書に関して、同年四月一一日付けで文書による申入れをしたところ、文書での回答のないまま統制違反として注意処分を受けた。そこで、原告は、全電通に右注意処分の撤回を求めるため、右申入れを裏面に印刷したビラを配って抗議した(以上、甲一二、一三の2、一四、五〇、五一、原告供述)。

6  昭和六〇年四月一日、電電公社が民営化され、日本電信電話株式会社(被告)となった(争いがない)。

7  昭和六一年、民営化に伴い、原告の勤務先である立川電報電話局市外機械課が立川ネットワークセンタ交換課に名称変更された(原告供述)。

8  昭和六二年、当時の全電通委員長の週刊誌上での発言に対し、原告は、全電通指導部に対し、「要請及び質問書」と題する書面を提出し、抗議のビラを配った(甲一二、一三の3、4、原告供述)。

このころ、ナショナルセンターである全日本民間労働組合連合会(現在の「連合」。以下「全民労連」という。)発足の動きが本格化したが、原告は、全民労連が労使協調路線であるとして、全電通が全民労連に参加しないよう求めるビラを配った(甲一二、一三の5、原告供述)。

9  原告は、毎年のように立候補していた全電通の役員選挙の昭和六二年度の選挙運動に際して、被告からビラ配りは許可していないと言われたこと等を契機に、全電通にとどまっていては組合員としての活動が保証されず、もはや全電通では活動できないと考え、被告に対する抗議のビラを配ると共に、同年六月一七日付けで全電通を脱退した(甲一二、一三の6、7、原告供述)。

10  昭和六二年、原告は、通信労組に加入し、同年八月、通信労組東京支部執行委員に選任された。昭和六三年、原告は、通信労組中央執行委員に選ばれ、平成元年、通信労組東京支部書記長にも選ばれて、中央執行委員と兼任した(甲一二、一三の1、原告供述)。

11  通信労組は、被告に対して提出した、昭和六三年一月二二日付け「東京立川分会に関する要求書」中で、原告に対する差別問題があるとの指摘をしている。通信労組は、さらに、平成元年二月一七日付け「東京立川NWCにおける差別的な扱いについての申入書」と題する書面を被告に提出した(以上、甲四、六)。

12  昭和六三年六月、被告は、一〇四番号案内有料化の方針を発表した。通信労組は、利用者(特に障害者)の負担が重くなることや人員削減等を理由に、右方針に反対した。同年九月八日、NTT一〇四有料化反対国民会議が結成され、反対運動(宣伝行動、自治体への要請、署名運動等)が進められたが、原告は、通信労組における一〇四担当として、右運動に参加した(以上、甲一二、原告供述)。

13  平成元年四月、リクルート事件で一度頓挫した右有料化方針が再び被告から出されたため、原告は、通信労組における一〇四担当として、再び反対運動を進めた。同年九月、原告は、同年一一月九日実施予定の首都大行動(有料化反対運動の一つ)における、被告本社及び郵政省に対する抗議行動のコース責任者に選出された(以上、甲一二、原告供述)。

14  同年一〇月中旬ころ、原告は、所属課の長である立川ネットワークセンタ交換課金子課長(以下「金子課長」という。)から、中央学園における本件訓練(同年一一月一日から同月二九日まで)に参加するよう言われた。本件訓練には、当初、第二回線サービス課の向井職員が参加する予定になっていたが、原告に変更された。原告は、コース責任者として参加を予定していた首都大行動が実施される同月九日が、原告が本件訓練中、最も重視していたプログラムトレースの授業にあたっていたため、やむなく、東京支部副委員長の亀山にコース責任者を代わってもらった(以上、甲一二、二二、原告供述)。

15  同月四日、通信労組中央執行委員会は、同月二一日に予定されていた全労連結成大会に、代議員及び傍聴者計八名のうち、原告を傍聴者として参加させることを決定し、同月一六日の同委員会で右人選を最終的に確認した(甲一二、八二の9、岩崎証言、原告供述)。

16  原告は、同月一八日午後、中央学園から勤務先である立川ネットワークセンタに戻り、同月二一日に予定されていた全労連結成大会に出席のため、立川ネットワークセンタ所長宛ての、組合業務を理由とする同月二一日の一日間の組合休暇願を金子課長の席に置き、併せて、「学園教官の方に申し出ましたところ、別段処理はない様です、との事です。」等の記載のある、金子課長宛てのメモを添えた(甲一二、乙七の1、2、一六、原告供述)。

同月二一日に予定されていた講義課目は「共通線信号処理」四時限であったが、原告の所属する交換課は、共通線信号処理装置にかかわる業務も担当していた(争いがない)。なお、共通線信号処理の講義は、同月二一日の四時限のほか、翌二二日の二時限であった(甲九、原告供述)。

17  原告は、中央学園の浜田教官(以下「浜田教官」という。)宛ての、「11月21日火について 立川NWC交換課に組合休暇の申し入れてあります。訓練中の休暇ですがよろしくお願いします。」との記載のあるメモを作成し、中央学園の教壇上に置いた(乙九、証人浜田満の証言、以下「浜田証言」という)。

18  同月二〇日午後三時ころ、勤務先の長である立川ネットワークセンタの中嶋所長(以下「中嶋所長」という。)から原告に対し電話があり、本件訓練中は組合休暇を認めることができない旨の回答があった(争いがない)。

そこで、原告は、通信労組中央本部の向井交渉部長に連絡をとり、被告本社の窓口との交渉を依頼したが、組合休暇は認められなかった。一方、向井交渉部長から年休請求ならばどうかの問い合せを受けた、立川ネットワークセンタの長島総務課長(以下「長島課長」という。)は、中嶋所長に電話して、年休も認められないとの方針で処理するよう指示を受けたので、中嶋所長の指示どおり、原告からの電話に対し、年休を認めることはできず、休んだ場合には無断欠勤になると伝え(以上、甲一二、乙一六、証人中嶋英明の証言、以下「中嶋証言」という、岩崎証言)、これをもって、被告は、原告の年休請求に対する時季変更権を行使した(争いがない)。

19  同月二一日、原告は本件訓練を欠席し(争いがない)、通信労組を代表して、全労連結成大会に傍聴人の資格で参加した(甲一二、原告供述)。

20  同月二二日、中央学園に中鳴所長が来て、原告に対し、被告の社員就業規則に基づき、減給及び譴責処分を行うことになる旨言われた。この日、中嶋所長は、第二ディジタル交換担当課長とも話しをした。浜田教官は、同月二一日の出勤簿に斜線を入れ、事後処理は立川ネットワークセンタに任せることになった。原告は、中嶋所長の求めにより、同年一二月一一日、通信労組と相談の上、「一九八九年一一月二一日の年休申請について」と題する書面を被告に提出した(甲七、一二、二一、浜田証言、原告供述)。

21  同年一二月一九日、被告は、原告に対し、同年一一月一二日の原告による本件訓練の欠席が無断欠勤であり、被告の職員就業規則第六九条三号(上長の命令に服さないとき)及び同条一三号(職場規則に違反する行為のあったとき)に該当するとして、本件譴責処分を行い、これに基づく原告の職能賃金の定期昇給の四分の二の減給を行うと共に、無断欠勤に基づく原告の一日分の賃金カットを行うことにした(争いがない)。

22  同年一二月二一日、被告は、原告の一一月分の給与から、一日分の賃金をカットした(甲一二)。

23  同月二五日、通信労組は、被告に対し、原告に対する譴責処分の撤回を求める旨の申入書を提出した(甲七、一二)。

24  平成二年二月一日、立川ネットワークセンタから多摩ネットワークセンタへの名称変更があった(中嶋証言)。

25  同年四月一日、本件譴責処分に基づく定期昇給の四分の二の減給が実施された(甲一二)。

26  同年一一月五日、原告は、立川労働基準監督署に対し、被告を労働基準法第三九条違反で告発したところ、同年一二月二七日、同労基署から、同条違反を理由に、賃金カットの支払いと年休の是正を求める勧告書が出された(甲一二、原告供述)。

27  平成三年一〇月一日、本件訴訟が提起された。

二  争点に対する判断

1  本件譴責処分無効確認の利益について

(一) 一般に、確認の訴えにおいては、紛争の存する現在の法律関係を対象とするのが適当でありかつそれで足りるが、そのような現在の法律関係の基礎にある過去の基本的な法律関係を確定することが、現に存する紛争の直接かつ抜本的な解決のため最も適切かつ必要と認められる場合には、過去の法律関係の存否の確認を求める訴えであっても、確認の利益が認められるというべきである。

(二) これを本件についてみると、譴責処分は、被告社員就業規則第七〇条(5)によれば懲戒処分とされているところ(甲三の1)、昭和六三年六月三〇日に「社員就業規則の一部改正について」によって改正された後の被告の社員就業規則の第八四条では、「前年度の勤務期間中に病気休暇、通勤災害休暇、看護休暇、休職期間(組合専従休職及び留学休職を除く。)、懲戒処分及び無断欠勤がある社員の職能賃金の定期昇給は、別表2に定めるところにより、昇給額を減じて行われる。」と規定され、さらに別表2の1のⅲでは、「譴責処分 処分1回につき 4分の2」と規定されていることが認められる(甲三の2)。

被告による右取扱いは、譴責処分を受けた職員に対し、定期昇給につき具体的な不利益を与えるものである。したがって、本件において、原告が譴責処分という過去の法律関係の無効確認を求めることは、現に被告による譴責処分に関して原被告間に発生した一連の紛争の直接かつ抜本的な解決のために最も適切かつ必要であるといえるから、原告は譴責処分の無効の確認を求める訴えの利益があるというべきである。

2  時季変更権行使の適法性

(一)  使用者による時季変更権の行使は、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ許されるが(労働基準法第三九条四項但書)、この「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かについては、当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模及び内容、当該労働者の担当する作業の内容及び性質、作業の繁閑、代替要員確保の難易、労働慣行等、諸般の事情を考慮して客観的かつ具体的に判断すべきである。

(二) そこで、右基準を前提にして、本件の被告による時季変更権の行使が適法であるかどうか、すなわち「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かを検討する。

(1) 証拠(甲九、乙一、一三、二一、二九、浜田証言、中嶋証言)によれば、本件訓練の目的と背景は、以下のとおりであると認めることができる。

電話交換機にはアナログ交換機とディジタル交換機とがあるが、本件訓練の実施された平成元年当時、被告においては、電話の通話線ですべてをまかなうアナログ交換機に代わるものとして、音質が良く、情報を大量に送ることができ、通話線以外の共通線を利用することでサービスの多様化をはかることのできるディジタル交換機の導入を積極的に進めていた。例えば、立川ネットワークセンタにおいては、平成元年度において、アナログ交換機ユニット数は四台(いずれも通話回線用)であるにのに対し、ディジタル交換機ユニット数は八台(うち通話回線用は四台)となっていた。このように、被告としても立川ネットワークセンタとしても、ディジタル交換機の保守技術者の養成と能力向上の必要があった中で、本件訓練が実施されたものであり、その訓練目的は「ディジタル交換機の故障解析及び異常時の回復措置に必要な高度な知識・技能を修得する」というものであった。また、本件訓練は、ディジタル交換機のうち、通話用のD60交換機及びD70交換機の訓練であったが、右交換機の保守の際に共通信号装置の処理も入ること等を含め、共通線についての理解も不可欠であった。このような観点から、原告の参加した平成元年度から、共通線に関する講義時間が三時限から六時限に増やされていた。

(2) また、証拠(乙五、一四、二一、二八、六四、六六、中嶋証言、浜田証言)によれば、訓練中の選出に関して、以下の事実が認められる。

被告においては、例えば、平成元年度の職員総数二六万六〇〇〇人のうち、九つの研修センタにおける各集合研修に参加した人員は六万二二七〇人であり(中央学園だけでみると一万三五一三人)、すべての職員が集合研修を受けることができるわけではなく、また、訓練設備や教官体制等の制約もあるので、集合研修ないし訓練は、参加者個人の知識、技能の向上のためというよりも、職場の代表として参加する(所属する職場に訓練で学んだ技術等を持ち帰り、職場内で活用する)という意味合いを持っていた。また、具体的に、本件訓練における立川ネットワークセンタでの参加者の選出状況をみると、まず、平成元年度の保全科ディジタル交換機応用班(一五コース)の受講者の枠は昭和六三年度末ころ決まったが、立川ネットワークセンタには、平成元年一一月一日から同月二九日までの一コースのうちの一名分の枠しか割り当てられなかった。立川ネットワークセンタにおいて交換機関係を担当する部署は、交換課及び第二回線サービス課であり、当初は第二回線サービス課の向井職員を参加させる予定になっていたが、同年一〇月末に向井職員が人事異動により交換課に来ることになったため、従前から自己申告表等で保全科ディジタル応用班訓練の受講を希望していた、交換課所属の原告を参加させることにした。

(3) ところで、日進月歩する電気通信の事業を営む被告にとって、その職員に対し、常に技術革新に即応した高度の技術を習得させ、その能力向上をはかることは、被告の事業の遂行上不可欠な業務であるところ、職員に対し、急速な技術革新に対応しうる高度な知識、技能を習得させることを目指して行われる職場内教育(研修)は、まさに被告の事業の遂行上必要な業務であり、被告の各事業場がその業務の遂行上必要とされる技術研修、訓練に所属職員を参加させることが当該事業場における事業にあたることはいうまでもなく、また、「研修」という業務の性格上、その業務が非代替的なものであることも論をまたないところである。

したがって、当該事業場において特定の職員を指名して右の技術研修ないし訓練に参加させることは、当該職員に対し非代替的な業務の遂行を命じたものであるから、当該研修を命じられた職員が、研修期間内に年休を取得することは、原則として、客観的にその所属事業場における事業の正常な運営を妨げる場合にあたるものとして、被告において時季変更権を行使することが許されるものと認めるのが相当である。

これを本件についてみるに、前記(1)及び(2)で認められる事実からすれば、原告は、平成元年度の保全科ディジタル応用班訓練受講者としては、立川ネットワークセンタを代表して本件訓練に参加したものであって、当然、訓練の成果を立川ネットワークセンタに持ち帰る必要があると認められるし、また、近年の被告における交換機のディジタル化への動きや、担当職員による共通線に関する知識や技術の習得がますます重要になってきていること等を併せ考えると、原告が、本件訓練に出席することは、立川ネットークセンタの代表としての非代替的な業務であるばかりでなく、被告がその国内電気通信事業を推進するにあたってもきわめて重要な意味を有する業務であると認めることができる。したがって、原告が本件訓練期間中に年休を取得することは、被告の「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当すると認められる。

もっとも、以上の如く解すると、被告における半年ないし一年にもわたる長期の研修の場合には、その間は、被告の職員は労働者に権利として保障された年休権の行使ができないことになりかねず、労働者の年休権を侵害することとなるおそれがないではないが、このような場合には、労働基準法三九条五項の規定を用いて、研修に参加した職員全員に対し、一定の時期に集中して、一斉に年休を与えるようにする措置を講ずることによって、労働者の年休権との調和を図り得るのであるから、右の事情は、被告の研修期間中の年休の請求に対する時季変更権の行使につき前説示の如く解することの妨げとなるものではない。

しかも本件にあっては、研修期間は一か月に満たないのであるから、研修中の年休取得は、事業の正常な運営を妨げる場合にあたるものとして、被告において時季変更権を行使することは当然許されるものというべきである。

(4) この点、原告は、以下のとおり反論するのでこれを検討する。

まず、原告は、欠席した平成元年一一月二一日の講義課目である共通線信号処理については、その実務を長年にわたり担当してきており、十分理解していたから、右課目を欠席しても本件訓練目的の達成には何ら影響なかったと主張する。しかし、職場における日常業務の遂行のみで、ディジタル交換機の維持や保守ができるのであれば、交換機のディジタル化に伴う集合研修ないし訓練はそもそも必要がないことになるし、また、訓練参加者は現場の事業所からの推薦を受けて参加してくるところ(浜田証言)、個々人の主観的判断により、訓練を受ける必要のない課目を決めることになると、まさに被告の「事業」である集合研修ないし訓練の「正常な運営」を妨げることになると考えられる(前記一の14、16及び19記載の各事実によれば、現に、原告は、プログラムトレースの授業は必要であると考えて、コース責任者を交代してもらったのに対し、共通線信号処理の授業は理解していたから不要であると、個人の考えのみで判断している)。さらに、本件訓練卒業時のアンケート集計(乙三〇)によれば、共通線信号処理について易しいと答えた者はいないこと、被告においては、共通線もしくは共通線交換機に関する訓練が別個に存在するが、原告はこれを受講していないこと(甲一〇五、乙一五、六六、中嶋証言)に加え、結局、原告の本件訓練中の勉強時間や成績等(乙六、三一、浜田証言)を考慮すると、結局、原告の右主張は理由がないと認められる。

次に、原告は、被告による集合研修は年間を通じ繰り返し行われているから、原告に対して特定の期日を代替期日として指定した上で受講させることが十分可能であったし、そのように配慮すべきであったと主張する。しかし、証拠(甲一〇五、乙一四、中嶋証言、浜田証言)によれば、平成元年度の研修人員は六万二二七〇人(中央学園では一万三五一三人)、延人員でみると五六万六二六二人(中央学園では一八万五四四九人)にものぼる上に、この人数が全国から参加してくること、平成元年度の訓練だけでも百数十種類があること、訓練参加者を送り出す現場の側の稼働調整が難しいこと、期間を限った集中的な訓練であること、訓練を休むことを前提にしていないのでそのための補講の制度はないことが認められるから、被告には、原告による本件訓練の欠席につき、補講等の代替措置を講じることはできなかったし、その義務もなかったものと認められる。したがって、やはり、原告の主張は理由がない。

(三)  以上より、本件訓練中に原告が年休を取得することは、被告の事業の正常な運営を妨げる場合に該当するから、原告の年休請求に対する被告による時季変更権の行使は適法であると認めることができる。

3  不当労働行為の成否

原告は、被告による時季変更権の行使は、通信労組に対する差別ないしは通信労組組合員である原告に対する差別に基づく行為(不当労働行為)であるから無効であると主張するので、この点を検討する。

(一) まず、原告は、被告の原告に対する差別行為の例として以下のものを挙げ、被告による時季変更権の行使は原告に対する差別の一環であると主張するのでこれらを検討する。

(1) 原告は、被告での任用においては先任権なるものが存在し、勤続年数と学歴により順番に任用されいていくべきであるところ、原告と同期の者がほとんど課長等になっているにもかかわらず、原告のみが交換課の工事主任に据え置かれたままであると主張する。

確かに、証拠(甲九、原告供述)によれば、原告が卒業した私立明星高等学校工業科の卒業生で、原告と同じ昭和三九年に電電公社に雇用された一八名の、平成三年の時点での内訳は、支店長が一名、課長が六名、主査及び係長が五名、主任が二名、子会社出向が一名、退職が二名、不明の者が一名であり、原告の昇進は他の同期入社の者に比べて必ずしも順調ではないことが認められる。しかし、まず、原告が先任権の根拠として挙げる、全電通の「四四中記第四五号団体交渉記録書」中に、先任権の存在を窺わせるような記載はない(乙一七)。また、仮に、原告主張のように必ず勤続年数と学歴によってのみ順番に任用されていかなければならないとすれば、原告が昭和四六年に右一八名のうち最初に工事主任になったこと(原告供述)自体が説明できないし、原告自身も、法廷において、昭和四六年当時、原告が他の一七名と比べて学歴が高かったわけでも、勤続年数が一番長かったわけでもないのに、なぜ一番最初に主任になったと思うかと聞かれ、会社側の業務上の判断ではないかと答えていることが認められる。

したがって、被告の任用においては先任権なるものは存在せず、事実、原告と同窓の同期入社の職員の間でも、支店長から原告と同じ主任にとどまる者まで昇進の度合いはまちまちであるのであって、これらの点に鑑みれば、原告が全電通を昭和六二年に脱退して通信労組に加入し、以後、通信労組組合員として活動してきたことを被告が嫌悪したことが、原告の昇進が他の同期入社の者に比べて遅れた決定的原因であると認めるに足りない。

(2) 原告は、昭和六二年当時、他の社員が多くの上級の訓練を受けていたにもかかわらず、原告は一般ディジタル基礎班の訓練しか受けさせてもらえず、訓練差別があったと主張する。

しかし、平成元年一一月現在の、交換課の個人別訓練履歴(乙一五、六〇)によれば、原告は、本件訓練を含め五回の訓練を履修済みであり(昭和四九年度に(アナログ)電子交換機技術班訓練、昭和五八年度に技術科ディジタル交換機班(D70)訓練、昭和六三年度に保全科D10形自動交換機応用班訓練及び実践演習A2班訓練(いずれもアナログ)、平成元年度に本件訓練)、当時の課長代理をはじめとする、原告以外の交換課構成員一七名の訓練受講状況と比較して決して少ないとはいえない(受講回数を単純比較はできないとしても、一度も訓練を受けたことない者が二名、二回のみの受講が七名いる)。

したがって、原告に対する訓練差別の存在を認めるに足りない。

(3) 原告は、昭和六三年ころ、夜間宿直者が原告に対し、技術的な応援を求め、あるいは昼間の作業につき聞こうとした際、原告には電話をしてはならない旨周知されたと主張する。

しかし、そもそも、交換課においては、「休日夜間の異常障害連絡系統図」との連絡網が設置されており、(乙一九、中嶋証言。なお、所長名は「岡部」となっているが「中嶋」の上に紙を貼ったものであり、中嶋所長が立川ネットワークセンタにいた平成元年当時にも存在したことが認められる。)、自宅にいて勤務時間外である原告に対し、夜間宿直者が電話をする必要性は全く認められないから、昭和六三年ころに原告に電話をかけてはならない旨が周知されたとしても、その事実をもって原告に対する差別ということはできず、これをもって差別であるとする原告の主張は理由がない。

(4) 原告は、被告の平成元年二月一日の料金改定に伴う深夜及び早朝作業に際し、他の課からわざわざ要員を配置した上で、原告を右作業から外したが、これは原告が通信労組組合員であるからだと主張する。

確かに、原告が右作業に参加していないことは認められる(甲一八)。しかし、被告は、料金改定作業を毎年実施し、全員参加ではなく順番に担当させており(中嶋証言)、現に、原告も平成元年以外は毎年、料金改定作業に参加していること、交換機のファイルの更新作業や東京の局番四桁化、千葉の局番三桁化等には参加していることが認められる(原告供述)。また、原告は、法廷において、元年の改定作業から原告を外したのは、原告に新しい技術を習得させないためであると述べるが、料金改定作業自体に特殊な技能や技術が必要であると認めるに足りる証拠はない。したがって、結局、原告が平成元年の料金改定作業に参加しなかったことが、被告の原告に対する差別に基づくと認めるに足りない。

(5) その他、原告は、原告が通信労組に所属しているが故に、以上のほかにも種々の差別を受けた旨を主張するが、これを認めるに足りる的確な証拠はない。

(二) また、原告は、被告が全電通に対しては便宜をはかる一方、通信労組を不当に差別していたと主張し、原告の年休請求に対する時季変更権行使は、通信労組組合員である原告の全労連結成大会への参加を妨害するためのものであると主張するので、これを検討する。

(1) 証拠(甲四四の1、2、乙三四ないし四二、岩崎証言)によれば、被告は、以下のとおり、全電通に対する取扱いと通信労組に対する取扱いを異にしていることが認められる。すなわち、まず、団体交渉に関して、地方交渉については、全電通に対してはすべての地方で確立させているのに対し、通信労組に対しては北海道、東京、関東、東海、関西のみで確立させており、支部交渉については、全電通に対してはすべての支部で確立させているのに対し、通信労組に対しては三三支部につき未設置となっており、分会交渉については、全電通に対してはすべての分会で確立させているのに対し、通信労組に対しては一六九分会につき未設置となっており、労働協約及び交渉記録書については、全電通との間では合意事項、経過、継続案件等すべてにつき協約を締結して交渉内容を記録しているのに対し、通信労組との間では団体交渉の方式についての協定を取り交わすだけで、交渉案件を羅列した記録を残すのみであり、団体交渉の内容については、全電通との間では団体交渉の時間に制限を設けず、打合せ時間、交渉場所までの移動時間のいずれも勤務時間として認めるのに対し、通信労組との間では団体交渉の時間を一回一か月二時間に制限し、打合せ時間は勤務時聞として認めず、交渉場所までの移動時間は片道のみ勤務時間として認めている。また、組合事務所については、全電通に対してはすべての県に設置しているのに対し、通信労組に対しては二七県につき未設置であり、掲示板については、全電通に対してはすべての県に設置しているのに対し、通信労組に対しては二四県につき未設置である。

その他、通信労組に対する特別の取扱いの存在を窺わせる証拠(甲六九、七五の1、八一)もないではない。

(2) また、確かに、前記一の1ないし27で認めた経緯からすれば、原告は電電公社に入社した当初から組合活動を活発に行ってきたこと、原告は全電通に加入していたにもかかわらず、全電通の方針に対し、批判的な態度をとり、全電通指導部に対し種々の申し入れをしたり、抗議のビラを配ったりしていたこと、原告は当初から電電公社の民営化に反対していたこと、原告は全電通を脱退して通信労組に加入し、加入後は一〇四有料化反対運動を始めとして、活発な組合活動をしていたこと等が認められる。

(3) しかし、前記(1)及び(2)の事実が認められるとしても、以下の理由により、被告による本件時季変更権の行使それ自体が、原告が所属する通信労組に対する差別意思(全労連結成大会への参加妨害の意図)に基づくものであると認めるに足りない。

まず、全電通の多数派所属の組合員が研修中、組合活動に参加するため年休の請求をした場合には、被告から時季変更権の行使はなされなかったのに対し、全電通の少数派の組合員ないし通信労組の組合員が研修期間中、同様の目的で年休を請求した場合には、事業の正常な運営を妨げるとの口実のもとに時季変更権を行使された前例が存すること、その他年休及びそれ以外の休暇の取得につき、被告が、全電通所属の組合員と通信労組所属の組合員との間で差別的な取扱いをしたことを認めるに足りる証拠はない。

次に、全労連結成大会に参加した通信労組組合員の代議員ないし傍聴者は原告を含め八名であったが、当日、原告以外に、組合休暇や年休がとれなかった者はおらず、全員参加していることが認められる(岩崎証言、原告供述)。

この点、原告は、法廷において、昭和六三年の時点で、通信労組の中央執行委員になると同時に、組織担当になり、その後、全労連結成に向けて積極的な組織拡大をはかっていたから、本件訓練参加当時は、一〇四有料化反対運動を推進していたことも併せ考えると、原告は被告にとって嫌悪すべき人物であったと思うと述べ、組織担当である原告を全労連結成大会に参加させないことが、被告の通信労組に対する差別意思を示すと主張するかのようである。しかし、通信労組の平成元年六月二一日付け第一二〇号「通知書」(乙八)によれば、原告は中央執行委員に名を連ねてはいるが、組織担当との記載はなく、組織担当としては別の者二名の名が記載されていることが認められるから、実際に原告が組織拡大活動を行っていたかどうかは別として、被告の側に、原告が通信労組の組織担当であるとの認識があったと認めるには足りない。また、被告に送付された右通知書によれば、通信労組における平成元年六月二一日当時の中央本部役員は、中央執行委員長が一名、中央副執行委員長が四名、書記長及び書記次長が各一名、中央執行委員が原告を含めて一四名の合計二一名であること、交渉委員(全員が中央本部役員と兼務)は中央執行委員長が一名、中央副執行委員長が二名、書記長が一名、各種部長が四名、組織担当が二名の合計一〇名であることがそれぞれ認められるから、被告の認識していた、原告の通信労組における役職ないし地位は、幹部ではない中央執行委員一四名中の一名という程度であったと推認することができる。したがって、被告が、全労連結成大会に参加した通信労組組合員八名のうち、原告のみに時季変更権を行使したことが、通信労組に対する差別意思(全労連結成大会への参加妨害の意図)に基づくものであると認めるに足りない。

さらに、原告は、本件訓練には、当初向井職員が参加する予定であったのに、原告に変更したこと自体が、通信労組組合員である原告の全労連結成大会への妨害のためであると主張するが、右変更は前記2の(二)の(2)で認めたとおりの経緯によるものであり、その他、右変更がことさら、被告による、原告の全労連結成大会参加に対する妨害の意図で行われたものと認めるに足りる証拠はない。

(4)  したがって、被告の通信労組に対する取扱いと全電通に対する取扱いとの間に前示のような差異がないとはいえないにしても、原告の年休請求に対する被告の時季変更権の行使それ自体が、被告の通信労組ないしその組合員である原告に対する差別意思に基づくものであると認めるに足りない。

(三)  以上より、被告による本件時季変更権の行使が不当労働行為であると認めるに足りない。

4  権利濫用について

しかしながら、以下の理由により、結局、本件譴責処分は無効であると認めることができる。

(一) 証拠(甲一〇〇〜一〇四、一〇八、一〇九、証人中嶋宣雄の証言、同服部信之の証言、同安田文夫の証言、岩崎証言)によれば、以下の事実を認めることができる。

昭和三七年四月に電電公社に雇用された中嶋宣雄(以下「中嶋」という。)は、同年七月中旬ころから三か月間、広尾の東京学園において実施された、C41・C51クロスバー交換機の保守作業の訓練に参加していたが、右訓練中の同年八月初めころ、登山に行くためと理由を明らかにして、その二、三日前に、担当教官に対し、一日間の年休を請求した。教官からは訓練中なので行かない方がいいのではないかと言われたが、結局、年休を取得した。

昭和三二年四月に電電公社に雇用された服部信之(以下「服部」という。)は、昭和五二年一二月ころの、目黒の駒場学園において実施された保全課電子交換機概要班の訓練に参加していたが、同月一三日、年休取得理由は明らかにせず、担当教官に対して、翌一四日に年休を取得したい旨請求した。教官からは、一四日には一時間の中間テストがあるので困ったと言われたが、結局、年休を取得することができた。服部は、一四日に職場の仲間とゴルフをした。翌一五日、教官に言われて、服部のみが別室で中間テストを受けた。

昭和四五年四月に電電公社に雇用された安田文夫(以下「安田」という。)は、昭和六三年四月七日から同月一四日までの間、東京研修センタにおいて実施されたディジタル交換機基礎Aコース訓練に参加していたが、右訓練中の同月八日、年休取得理由は明らかにせず、担当教官に対して、同月一一日に年休を取得したい旨請求した。その際、年次休暇届を渡されたので、これに記入して担当教官に渡した。安田は、離婚を予定していた妹の引っ越しを手伝うために年休を請求したのだったが、実際には引っ越しは取り止めになったため、家族で妹の今後について話をするにとどまった。右訓練終了日である同月一四日、安田は、担当教官から、自局に持ち帰るよう言われて、右年次休暇届(下の欄外に「上記のとおり年次休暇を取得したことを証明します。」との、東京研修センタ局内整備研修科部長名の記載が加わっていた。)を渡されたので、これを持ち帰って所属長に提出した。その後、東京研修センタ所長名の訓練終了通知書が出た。

被告の東渋谷営業所に勤務する細井彦男(以下「細井」という。)は、平成五年一二月七日から同月一〇日までの間、渋谷支店全員を対象として実施された、CUSTOM一般実習研修営業四日コースの訓練に参加したが、右訓練最終日の同月一〇日、年休を取得してゴルフをした。当初、細井は、一二月の第二週目の訓練に参加する予定であったが、第一週目の訓練(同月七日から一〇日)に参加予定であった職員から交代してほしいと言われたため、所属課長に対し、既に同月一〇日に年休を請求しているので、交代すれば最終日の訓練に出席できない旨話したが、それでも交代してほしいと言われたという事情があった。

(二) ところで、被告は、訓練中の年休請求につき、人道上の場合を除き、認めていない旨主張し、中嶋所長も法廷において、一般論として、通常の場合ならともかく、訓練中に年休の請求があった場合は、取得目的を聞いて判断し、人道上ないし一身上の問題の場合のみ認めていると証言する。

しかし、前記(一)で認定した各事実によれば、各種訓練中の年休請求の際、自ら登山に行くと述べた中嶋を除いて、年休の目的は聞かれていないことが認められるし、ゴルフ、登山、妹の引っ越し等の、全く人道上の問題でない理由で、被告の社員がそれぞれ各種訓練を欠席していることが認められる。これに加えて、電電公社時代(昭和五七年四月現在)の「勤務票事務処理要領等」(甲九一)によれば、学園集合訓練中に休暇(年休を含む。)を付与した場合の学園における処理方法等が明示されていること、原告が法廷において、立川ネットワークセンタでの年休取得の実態として、午後に年休をとる場合は午前中に事務処理をすればよかったし、朝に電話で年休をとる場合や年休記載簿に記載するだけで年休を取得する場合もあったと述べていること、前記一「経緯」の20記載の事実によれば、原告が本件訓練を欠席した翌日である平成元年一一月二二日に中嶋所長が中央学園までわざわざ来ていることや、原告の同月二一日の出勤簿については斜線を入れた上で事後処理を立川ネットワークセンタの方に任せたことが認められるところ、浜田教官は、法廷において、右のような事務処理は初めて経験すると述べていることがそれぞれ認められる。

以上の事実を総合して考えると、原告の本件における年休請求に対する被告の時季変更権行使が適法であってまたやむを得ないとしても、その結果、被告が、本件訓練を欠席した原告に対し、無断欠勤であるとして本件譴責処分等を行ったことは、従前の被告における集合訓練中年休請求者に対する取扱いからみて、行き過ぎであると言わざるを得ず、権利の濫用であると認めることができる。

5  したがって、本件譴責処分は無効であり、右処分に基づく原告の定期昇給の四分の二の減給は理由がないし、また無断欠勤にも該当しないので原告の一日分の賃金カットも理由がない。

よって、原告の請求は理由がある。

(裁判長裁判官宇佐見隆男 裁判官山野井勇作 裁判官釜井裕子)

別紙

賃金表

*注*本来額:譴責処分が無効とした場合の支給されるべき金額

支給額:実際に支払われた金額

職能賃金

暫定手当等

資格調整手当

特別手当

その他

差額合計

a

本来額

b

支給額

c

差額

(a-b)

d

本来額

e

支給額

f

差額

(d-e)

g

本来額

h

支給額

i

差額

(g-h)

j

本来額

k

支給額

l

差額

(j-k)

m

本来額

n

支給額

o差額

(m-n)

(=c+f+i

+l+o

平成元年1月

(11月21日の無断欠勤を

理由とする1日分の賃金カット)

0

‐13272

13272

13272

4月

157,400

155,500

1,900

19,500

18,700

800

8,600

8,540

60

0

2,760

5月

157,400

155,500

1,900

19,500

18,700

800

8,600

8,540

60

0

2,760

6月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

夏期手当

0

0

0

947,160

939,735

7,425

7,425

90年度調整分

13,100

13,000

100

1,600

1,600

0

560

580

‐20

0

80

7月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

8月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

9月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

10月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

11月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

12月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

年末手当

0

0

0

1,045,384

1,037,189

8,195

8,195

(小計)

1,475,550

1,458,000

17,550

182,700

175,500

7,200

79,920

79,470

450

1,992,544

1,976,924

15,620

0

‐13,272

13,272

54,092

平成3年1月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

2月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

3月

163,950

162,000

1,950

20,300

19,500

800

8,880

8,830

50

0

2,800

年度末手当

0

0

0

147,336

146,181

1,155

1,155

4月

167,850

165,900

1,950

20,300

20,300

0

9,000

8,960

40

0

1,990

5月

167,850

165,900

1,950

20,300

20,300

0

9,000

8,960

40

0

1,990

6月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

夏期手当

0

0

0

998,190

992,790

5,400

5,400

91年度調整分

8,987

8,902

85

1,600

1,600

0

560

560

0

0

85

7月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

8月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

9月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

10月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

11月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

12月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

年末調整

0

0

1,101,855

1,095,746

6,109

6,109

(小計)

2,056,287

2,032,452

23,835

250,800

248,400

2,400

110,160

109,650

510

2,247,381

2,234,717

12,664

0

0

0

39,409

平成4年1月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

2月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

3月

174,250

172,250

2,000

21,100

21,100

0

9,280

9,240

40

0

2,040

年度末手当

0

0

0

155,274

154,434

840

840

4月

178,250

176,250

2,000

21,300

21,300

0

9,410

9,370

40

0

2,040

5月

178,250

176,250

2,000

21,300

21,300

0

9,410

9,370

40

0

2,040

6月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

夏期手当

0

0

0

1,040,850

1,035,315

5,535

5,535

7月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

8月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

9月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

10月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

11月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

12月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

年末手当

0

0

0

1,148,790

1,142,681

6,109

6,109

(小計)

2,158,500

2,134,150

24,350

258,500

258,500

0

113,160

112,960

200

2,344,914

2,332,430

12,484

0

0

0

37,034

平成5年1月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

2月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

3月

182,750

180,700

2,050

21,800

21,800

0

9,500

9,500

0

0

2,050

年度末調整

0

0

0

161,910

161,049

861

861

4月

186,850

184,800

2,050

21,800

21,800

0

10,500

10,500

0

0

2,050

5月

186,850

184,800

2,050

21,800

21,800

0

10,500

10,500

0

0

2,050

6月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

夏期手当

0

0

0

1,025,173

1,019,904

5,269

5,269

7月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

8月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

9月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

10月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

11月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

12月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

年末手当

0

0

0

1,188,722

1,182,613

6,109

6,109

(小計)

2,254,750

2,230,150

24,600

264,400

264,400

0

123,000

123,000

0

2,375,805

2,363,566

12,239

0

0

0

36,839

平成6年1月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

2月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

3月

190,400

188,350

2,050

22,200

22,200

0

10,500

10,500

0

0

2,050

(小計)

571,200

565,050

6,150

66,600

66,600

0

31,500

31,500

0

0

0

0

0

0

0

6,150

合計

8,516,287

8,419,802

96,485

1,023,000

1,013,400

9,600

457,740

456,580

1,160

8,960,644

8,907,637

53,007

0

‐13,272

13,272

173,524

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